ステップ3
キャブセット
 実践編


キャブの個体差やドライバーの好みによって多少の差はありますが、
私はローを濃いめにしてハイを絞る方向で調整する方法が合わせやすいと思います。

1)エンジン始動
まずは基本セットの ロー90分 ハイ20分 でコースに入ります。

もしこのセットではカブって始動しにくい場合はローを80分に変更、
もしくはハイを全閉にして始動させます。

基本編でも書きましたが、ハイは僅かながら低速時にも燃料を出しています。
それを全面カットすることで始動時のカブリが軽減できます。
もちろん始動後はハイを戻しておきます。

ローは濃い方が良い結果を生むことが多いので、
ローを80分にするよりハイを全閉にして始動する方が良いと思います。


2)低速立ち上がり
走行中はハイニードルのみに集中します。
ロー90分、ハイ20分で走行。
低速コーナーからの立ち上がりでブベブベ言うようなら濃いです。
ハイニードルを5分絞ってみましょう。

どうなりましたか?  

→ まだブベブベ言う  
    ブベブベ言わなくなるまで少しずつハイニードルを絞る
→ 良いフケ上がりになったがハイニードルが10分を下回った
    ローを85分ハイを20分でやり直す               
→ 良いフケ上がりになった
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3)中速の伸び 8000回転〜10000回転にかけて 
→ 一瞬もたつく感じがする
     → パワーの落ち込み感がある 【薄い】 ハイニードルを開ける
     → フン詰まり感がある 【濃い】 ハイニードルを絞る 
→ スムーズに回転が上がる
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4)高速最後のひと伸び
コースにもよりけりですがKTの場合、最高回転数は14600〜14800回転くらいだと思われます。
他の人と同じギアなのに300回転以上最高回転数が低かったら伸びていないのかも知れません。
ただこれは、ストレートの1つ手前のコーナーの処理が悪いため回転が伸びない場合もあるので注意すること。
その他キャブ以外でも伸びない原因はありますのでシャーシも含めて点検する。

→ キャブが濃いのか?薄いのか?
   14000回転以上も回ると濃くても薄くてもそれなりに回ってしまいます。
   ハイニードルを絞る、開ける、両方試して良かった方向で調整する
   プラグの焼け具合も参考になる。

5)まとめ
低速から力強く立ち上がり、中速から高回転までスムーズに回るエンジンになりましたか?
全体の流れとしては、まずローニードルを決め、ハイニードルで微調整する感じです。
ハイニードルは10分〜25分の間で調整します。
この範囲を超えた場所で調子が出るようなら、ローを見直します。

調整していくウチに、中速では濃いから絞ったのに高速では薄くて開けなくてはいけない。
こんな状況に出くわすこともあります。
このような場合、ローを少し絞って、その絞った分だけハイを開けてみてください。
概ねローとハイの合計時間(燃料噴射量の総量)はほぼ一定です。

ローとハイの調整によりピークの回転数を変化させる事は可能です。
しかし、これは言い換えれば全ての回転域をドンピシャの燃料噴射でカバーする事が出来ないという事でもあります。
どこかで妥協することも時には必要です。

キャブセットに迷ったら、いっそのこと普段あり得ないキャブ開度にしてみるのもいいかも知れません。

気温、湿度、ギア比、ノイズボックス、混合比・・・どれが変わってもキャブセットに影響を及ぼします。
オールマイティなキャブセットなどは存在しません。

基本セットと言われる ロー90分 ハイ20分 にしても、
ここから調整を始めると合わせ易いというだけで、正解ではありません。


何度も試してコツを掴んでください。
こればかりは練習あるのみです。