エンジン

多種多様のエンジンがありますが、一番ポピュラーなのは100ccの2ストロークエンジンです。
下記の2種が現在最も流通しています。

カートのエンジンは基本的にダイレクトエンジンです。
エンジンのアウトプットシャフトと後輪がチェーンにより直結されていますので、
エンジンの始動は「押しがけ」により行います。

ダイレクトエンジンは文字通り直結ですので、スピンやブレーキロックなどでタイヤの回転が止まると
エンジンも止まってしまいます。

クラッチ付きエンジンの始動はセルモーターや外部スターターで行います。
スピンしてもエンストする事がないのですが、遠心クラッチを使用しているために
低回転からの立ち上がりでロスが発生します。重量が重いというデメリットもあります。

追記(2009年)
上の文章は2005年頃に書いたのですが、最近の情勢は少し変わって来ております。
現在では性能の良いクラッチが登場し、ダイレクトエンジンとの性能差はほとんどありません。
さらに上級カテゴリーのエンジンは全てセルモーター、クラッチ付きになり、
今ではクラッチ付きが当たり前になっております。
レースのレギュレーションで規定されている最低重量も、セル・クラッチ付きのカートを基準に設定されており、
重さのハンデもありません。
「押しがけ」は過去のテクニックになりつつあります。




ヤマハ KT100

トラブルが少なく、広く普及しているエンジンです
ジュニア用に馬力を抑えたものや、セル、クラッチ付き、
上級モデルのSPまでラインナップが豊富。



PRD RK100

KT100よりも馬力があり人気。
ただ、KTに比べるとキャブセッティングや始動性に難があるので
中級者向き。



PRD AVANTHI 125cc

セル・クラッチが標準装備。
RK100に比べると全域でトルクがあり扱いやすい。
ライフサイクルも長めでトラブルも少ない。
ホビーカーターには最適。
ただアバンティを使用するレースが少ないので、レース派には不向き。



ヤマハ YZ125 125cc

ミッションカート用エンジン。
モトクロス用の2stエンジンをカート用にモデファイしたもの。
6速シーケンシャルミッションで可変排気バルブを装備。
ミッションカートは、いわゆるカートコースではなく4輪車が走行するような大型サーキットで走行します。
ギア比にもよりますが、最高時速は180km以上に達します。



2ストロークエンジン構造

現在カート用のエンジンは2ストロークエンジンが主流です。
自動車で一般的な4ストロークとは違い、構造が単純で部品点数が少ない。
小排気量でも高出力を生み出す。
しかし、構造上、未燃焼ガスを多く排出して燃費も悪い。
エンジン音がうるさいなどのデメリットもあり、
環境問題の観点から4ストロークのカートエンジンへシフトする動きも近年見受けられる。

 
画像はクランクケースリードバルブ式2サイクルエンジン
クランクケース横の弁が混合気の逆流を防ぐ



KT100 や PRD はクランクケースではなくシリンダー側にキャブがあり
ピストンそれ自体が吸気弁の役割を果たす。
ピストンリードバルブ式

いずれにせよバルブ構造のない2サイクルは混合気、排気の逆流を避けることはできない。
これが燃費の悪さの原因である。

しかし、それを避ける工夫は随所に見受けられる。
例えばチャンバー。チャンバー内では排気効率を犠牲にして一部ガスを逆流させる仕組みになっている。


従って、この作用を利用してパワー特性を変化させることが出来る。
チャンバーの取り付け部に装着するジャバラは短い物にすると高回転型、長い物だとトルク型になる。
ただ抜けが良いだけのチャンバーが良いとは限らないのはこのためなのです。