誰もが経験する
トラブル

セッティング編

厳密に言えばこのセッティング編はトラブルではありません。
しかしセッティングこそ果てのない大きな問題であると私は思うのです。
天候、気温、路面状況、一つとして同じ環境はありません。
私も未だ答えを持ち合わせておりませんが参考までに・・・


セッティングは奧が深く、ともすればセッティング地獄に陥ってつまらない状態になることもしばしばです。
まずはセッティングを出す上でニュートラルなポイントを探しましょう。
中古カートを購入した人は前オーナーのホームコースに合わせたセッティングになっているはずです。
これがその自分のホームコースに当てはまれば良いのですが、世の中そううまくはいきません。
メーカーのHPがあればそれを参考にそのカートの推奨セッティングにしましょう。
これでそこそこ走ることができるハズです。
そこから自分のセッティングを手探りで探して行くのです。
ここで必ず守ることはセッティング変更は1ヶ所づつ行うということ。
一度に2つも3つも変更するとワケが分からなくなりますからね。


エア圧

タイヤの空気圧は温間時に1.0kg/cmになるようにするといいです。
発熱量を考えて冷間時に0.8kg/cm〜0.9kg/cmに設定しましょう。
走行直後にこまめに測定してベストのエア圧を探しましょう。
メーカーにより美味しいエア圧が違いますので遠慮なく聞いてください。

トレッド
トレッドは簡単に変更でき、且つ効果も大きいので頻繁に調整します。
ただ、ここでも調整は1ヶ所ずつ行って下さい。どの変更がどのような効果を生みだしたのか理解するためです。

【フロントトレッド】
フロントトレッドはコーナー初期のステアリングの切り始めに影響します。
ステアリングを切っているのに曲がらない(アンダー)症状が出る場合、
トレッドを狭くすると改善されることが多い。
ただ、狭くしすぎるとピーキーとなり、乗りづらいマシンとなってしまう。

夏場のグリップが上がった路面で起こるフロントの「引っかかり」は
フロントトレッドをワイドにすることで改善されることが多い。


【リアトレッド】
リアトレッドを広げると横Gに対する踏ん張りが効き、グリップ感が上がります。
しかし、加速時にトランクションがかかりにくいというデメリットもあります。
狭めるとその逆の効果があります。

前後トレッドのバランスを考え、イイ位置を探してください。

トレッドをいくら変更しても目立った変化がない、またMAXナローにしてもまだアンダーが出るなどの症状がある場合、
根本的な重量バランスが狂っている可能性があります。
このような場合はシート位置を見直してください。

ギア比
我々のホームコースのおわらサーキットでは8.0〜8.3が良いのですがコレもセッティング次第。
定説を破って7.9を使用した時にベストラップを出した事もありましたので、
コレもいろいろ試してみて自分に合ったギア比を見つけることが必要です。

キャブ調整
コレは一歩間違えるとエンジンブローですので慎重に。
KTやPRDにはワルボロ製のキャブがついております。ワルボロキャブにはローニードルとハイニードルの二種類の調整ニードルがあり、
ローは全域、ハイは高回転時に作用します。
一般的に全閉から半回転戻した(開けた)位置を30分。一回転戻した位置を60分と、時計の針になぞらえて表します。

気温や湿度によっても変化しますのでその都度調整するのですが、
当社ではローを90分、
ハイを15分〜20分といったキャブセッティングを推奨しております。

ショップによってはローを100分
ハイを5分といったセッティングを推奨するところもあり、人によって様々です。
キャブ自体の個体差もありますので、自分でやってみるしかありません。
いずれにせよちょうど良い燃料噴射量となるように調整してください。
キャブセッティングは焼き付きの危険がつきまとうので自己責任でお願いいたします。

シート位置
シート位置の調整とは重心位置の調整です。
カートにおいて一番の重量物は他でもないドライバー自身です。
そのドライバーの位置をドコに据えるかでカート全体のバランスが変化します。

まずは、メーカー推奨の基準位置にシートを取り付けます。
この基準位置で問題なく走ることが出来れば良いのですが、
人によっては多少の味付けが必要となることもままあります。

フロントが入らない(アンダー傾向)場合、フロントに加重をかけることで改善させます。
シート位置を前へ移動する。

リアが滑る(オーバー傾向)場合、リアに加重をかけることで改善させます。
シート位置を後ろへ移動する。

ここで気を付けなければならないのが前後のバランス。
フロントの加重が欲しくてシートを前に移動させると当然リアが軽くなってしまいます。
どちらも程良いバランスとなるよう心がけてください。





最後にまとめです。
「乗りやすいカート」と「タイムの出るカート」は違うという事にご注意ください。
乗りやすくてもタイムの出ないカートはあまり良くありません。
ラップタイムと相談してセッティングしてください。

付け加えるならば「タイムの出るカート」と「バトルできるカート」も違うという事です。
バトルに強いカートとはなんぞや?
パッシングラインやブロックラインを走行する時は往々にして不安定になり、失速の危険性を含みます。
そのような無理なラインからも安定して加速するカート。
無理なツッコミブレーキでも体制を崩しにくいカート。
このようなカートはバトルに強いと思います。

理想は乗りやすく、タイムも出て、バトルに強いカートなんですけどね。


たま〜に驚くほどしっくりくるすごいセッティングが出て喜ぶことがあるのですが、
残念なことにそれがいつまでも続かないのです。
路面の変化、タイヤの摩耗、フレームの劣化など、同じ条件が揃うことなどまずありません。

それでもマシンが思う通りの動きをしたときの感動はさながら砂金探しのようです。
地道に頑張りましょう。